油圧推進装置
弊社の水面清掃船のほとんどに油圧推進装置が採用されています。
小型双胴船の推進装置として開発された油圧推進装置にはさまざまな特徴とメリットがあります。
PM-50型(52ps)油圧推進装置の写真を参考にその特徴をご説明します。
油圧推進装置は甲板上に据え付ける事ができます。
双胴船の船体は幅が狭く、内部にエンジン等の推進装置を据付けることは困難でメンテナンスも大変です。
推進装置を甲板上に据付けることにより、メンテナンスが容易になり、不慮の浸水事故に対してもエンジンなどが水没しないメリットがあります。
油圧推進装置はエンジンの冷却方式に、空冷ラジエターを選択できます。
エンジンの冷却を湖水や海水を吸込んで行うマリンの方式では、冷却水ラインに塵芥が詰まってオーバーヒートをおこします。
ラジエター冷却によりオーバーヒート事故を防止します。
油圧推進装置は小回りが利き、操船性に優れます。
360゜旋回プロペラ方式の採用により小回りが利き、岸辺、谷筋、網場際、取水口等の狭窄した水域での作業が容易です。(通常の左右各45゜操舵方式にも対応します。)
油圧推進装置は浅瀬での航行及び作業が容易です。
プロペラ上下装置により、浅瀬作業時や船体陸揚げ時にはプロペラを引き上げておき、航行時にはプロペラを下げて推進効率の良い位置に設定できます。
引き上げた状態は次の写真の通り船底よりは上の位置になります。
油圧推進装置は低速域でも高出力が得られます。
エンジン回転数を一定にしたまま油圧モーターにより大口径プロペラを駆動することにより、可変ピッチプロペラに近似の性能が得られ、微速、低速での重作業に最適です。プロペラは毎分5回転からの低速回転が可能です。
クラッチ操作が有りませんので、低速での作業は本当に快適です。
PM-100型油圧推進装置
港内の集塵作業を行う20G/T未満の海面清掃船には少し大型のPM-100型油圧推進装置があります。
黄色く着色した部分がパワーユニットとプロペラユニットです。
海面清掃船
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長さ×幅×高さ(排気管不含) 2500×1000×1500
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質量 |
3050kg (29890N) |
構造 |
防滴、メンテナンス四面開口、塗装仕上げ |
材質 |
SUS304・SS400・A5083 |
エンジン |
いすゞ4BG1TCX LESSの場合
定格出力 190ps(139kw) / 2750rpm
稼動出力 172ps(126kw) / 2500rpm
冷却方式 海水・清掃間接冷却
始動方式 電気始動(DC24V)
燃料 軽油 |
油圧装置 |
推進油圧ポンプ 160k×315l/m×130ps
PTO油圧ポンプ 140k×50l/m×20ps
操舵ポンプ 60k×(30)l/m×5ps |
タンク |
燃料タンク 180リットル
作動油タンク 120リットル
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その他の機器 |
オイルクーラー、バッテリー、バッテリースイッチ、排気サイレンサー、遠隔操縦・監視・警報装置 |
規格 |
JCI 日本小型船舶検査機構 |
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プロペラユニット主要目 (1台当り) |
寸法 mm |
甲板上高さ 1600、甲板下ペラ芯まで 1600、ペラ芯下舵坂下まで 390、
座面 560*560、舵軸芯より後長 560、舵軸芯より前長 270、
上下ストローク 450 |
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縦軸推進器・油圧駆動・一段減速方式
減速比 1/2
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プロペラ軸、舵軸 SUS304
ギヤーケース、フレーム SS400塗装仕上げ
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三翼固定ピッチ、外径750mm、回転数850rpm
回転方向 右舷機用 右、左舷機用 左 |
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38kgf−m(372N-m)、1900rpm |
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油圧シリンダー式
ストローク450mm、能力700kgf |
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トルク150kgf−m(1470N-m)、舵角360°全旋回、舵角速度12sec/360°
舵角指示器 電気式
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油圧モーター用高圧ホース、ホースガイド、遠隔操舵装置
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規格 |
JCI 日本小型船舶検査機構 |
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